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2009年 12月 20日
日本へ帰国する直前に、ストックホルム郊外で2泊3日で行われた前立腺癌の教育コースに出席してきました。
スウエーデンではどこの病院でも、このような教育コースへの参加が奨励されている。勿論、有給であり、コースの費用も個人で支払う必要はない。 今回のコースの参加費は宿泊費、食費込みでおよそ6万円。前立腺癌の治療薬で大きなシェアを持つアストラゼネカ社がオーガナイザーであるため、費用の半分はアストラゼネカが負担しているという話で、かなり高額のコースであるらしい。スウエーデン中から前立腺癌の大家である泌尿器科医、腫瘍専門医、病理医、看護師が招かれて講師を務める。受講者は30名限定で、泌尿器科医と腫瘍専門医がその殆どである。 場所はストックホルム中心から車でおよそ40分ほどのところにあるSteningevik。風光明媚なところ。 ホテルは小さな建物の集合体であり、メインの建物には暖炉やプールバーなどを備えたラウンジ、食堂、お決まりのサウナ、室内プールなどがある。 毎日朝8時から夜6時半まで講義があり、間にお茶の時間もある。 前立腺癌の治療は実に難しい。年齢70歳以上にもなれば、半数は前立腺癌を有しているとも言われ、全ての癌が治療が必要という訳ではない。優れた前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が1994年に導入されて以来、前立腺癌は初期で発見されるようになってきた。同時に、治療を要しない癌に対する治療という問題も議論されている。日本での厚生労働省の研究班の報告においては、PSA検診の意義は否定され、それに対して日本泌尿器科学会が抗議のコメントを出す事態にもなった。現在前立腺癌の治療、殊に手術療法に関わっていて、手術される症例のうち多くが直腸診では正常である。つまり、PSAが上昇したことを契機に発見された癌であり、PSA以前の時代には発見できなかった癌である。その中には悪性度の強い癌も多数含まれる。しかしながら、ごく初期の小さい悪性度の低い癌であれば、スウエーデンでは積極的に待機療法を適応する。つまり、無治療で経過を観察するというものである。日本ではまずこれが適応されることはない。患者さんを納得させることが難しく、従って更に、待機療法に通じる医師も少ないからである。私のスウエーデンでの経験では、待機療法も十分に適応を考えるべき良い方法だという印象である。前立腺癌の治療には、手術療法(高齢でない場合)、放射線療法、ホルモン療法、化学療法といろいろなものがある。日本では、外照射による放射線療法以外の治療を泌尿器科医が担当するが、スウエーデンで泌尿器科医が担当するのは手術療法と放射線療法を受けていない患者さんのホルモン療法のみである。手術となる患者さんの多くは、泌尿器科専門の腫瘍医の診察も受け、双方の意見を聞くチャンスがある。また、週に一回、泌尿器科医、腫瘍医、病理医の合同カンファレンスがあり、症例についてのデイスカッションも行われている。 前置きが長くなったが、前立腺癌の治療法決定がいかに難しいかということである。無治療で経過観察も然りだが、ホルモン治療をいつ始めるか、どんな種類の薬を使うか、途中で一時休薬してみるか、手術後のPSAの動きをどのように理解するか、、、など問題点を挙げればきりがないほどである。よって、10人の泌尿器科医がいれば10通りの治療法があるといっても過言ではないくらいである。 そんな訳で、最先端の知識や技術を習得することは前立腺癌の治療に携わっているものにとって殊に重要になってくるのである。各分野のエキスパートの話は、既に承知しているものから、目からうろこというものもあり、長時間の缶詰状態も全く苦になるものではなかった。スウエーデン語の講義であることは少々辛かったが。 講義のあとには素敵な食堂で美味しい食事。 夕食は毎晩前菜2品にメインとデザート。 ランチは野菜たっぷりのビュッフェ。 この日は木曜日だったので、スウエーデンお決まりの豆スープとパンケーキ。 受講者に移民医師が多いにもびっくりした。 ポーランド、イラク、イラン、ギリシャ、バングラデシュ、、、。移民医師には夫婦で医師という人も多かった。 あるイラクの医師はイラクで研修医をしたそうなのだが、自国のすさまじい状況を語ってくれたりもした。中でも、6ヶ月未満の病児は破棄するという話には口がきけなくなった。「次行け」ということらしい、、、。移民医師の中では最もスウエーデン新参者である私にとって、スウエーデン各地で頑張っている移民医師と話ができたことは素敵なことだった。 ここで得たことを、日々の診療で還元してゆきたいと思う。
by drpion
| 2009-12-20 12:40
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